はつ恋
【深志美由紀・著】三十半ばを過ぎた尚は、ブログで小説の連載を始めて一年ほど経つ。叶わなかった姉への劣情を、小説の中では少年のままで尚は満たしていた。禁断の小説には熱心なファンもついた。百合というハンドルネーム。それは小説の中の姉の名前だった──チャットセックスを時折愉しむまでの関係は、ある日突然途絶え、そしてメールが来た。生身の尚に会いたい、と──待ち合わせ場所には、まるで小説から抜け出してきたような、セーラー服姿の少女がいて……
向日葵の歌
【松崎詩織・著】沙智が初めて愛した人、それは実の兄、医学部へ通う翔だった。もちろん誰にも言えずに。が、兄の名前を口にしながら快楽に耽った激しい自慰を、偶然、覗かれた夜、一度だけギリギリの願いが……直後、家を出た兄は事故で死ぬ。夏、暑い盛りのことだった。その日から、沙智は声を失った。大学生になったとき、そんな沙智を愛してくれる人が現れる。初めて結ばれる夜、彼は幼い頃に心臓移植で生き延びていたことを彼女に話して聞かせるのだったが……
邂逅
【藍川京・著】苦労して、売れっ子のイラストレーターとなった沙季は、四十六歳になっていた。出席した挿絵画家の祝賀パーティの二次会は銀座の一流クラブ。全員の支払の半分を持つほどには成功していた──まだ売れないころ、小さなバーでアルバイトしていたときに、深い関係を結んだ男・新羅がそこに、偶然ひとりグラスを傾けていた。十五年目の再会。出会いは二十三年前にもなる──二次会のメンバーの目を避け、ママに頼んで、そっと渡してもらった名刺の携帯番号に、その夜のうちに……時を超えて結ばれる大人の男と女の純愛情欲短編!
甘い爪先
【睦月影郎・著】高校三年生の雄二は、交通事故直後から特殊な能力が身についていた。他人の感情が手に取るようにわかる、嗅覚や聴覚、運動神経までもが研ぎ澄まされている……。邪な欲望で頭がいっぱいの年頃の雄二が、この能力を使い出すのにそれほど迷いはなかった。憧れのクラスメート、武道錬達の女教師、事故を起こし自分をはねた人妻、そして美人女医──次々と雄二の操る「淫気」に身体を晒し、蜜を溢れさせる女たちの歓喜の濃厚フェロモンにこだわった傑作長編!
女の武器は……
【乃村寧音・著】二週間のうちに、契約を上げてこないと盛岡に転勤──ブラック企業丸出しの住宅販売会社の上司からそう告げられ、焦るリストラ対象の有希。元々せっぱつまった家庭状況にあった彼女は、そう言われた飲み会をフラフラと抜け出し、入り込んだのは「出来る男性先輩」の机の前。PCを勝手に覗き、顧客リストや仕事の仕方を盗もうと……。しかし、あとをつけてきたその男、斉田にPCを見ているところを見つけられてしまい──弱みにつけこまれ、夜のオフィスで、二人だけの「プレイ」が始まった!
蜜の時
【子母澤類・著】この清らかで美しい肉体を、あのサラリーマンに金で売ったのだろうか──妻方の姪、女子高生のなつきを小野木が引き取ったのは大震災のあとだった。平日の昼間、三十前後のサラリーマン風の男についていくなつきを見たのは、四十五歳の小野木が若い女子社員たちと市民センターのエントランスが見えるビストロで昼食をとっていたときだった──その日のことを、妻の留守中、ふたりきりになった際に切り出すと、否定しないなつきに小野木はついに衝動に駆られ、そして……
誘う女
【早瀬真人・著】三十九歳を迎えようとしている佐伯祐介は、会社倒産により現在、無職。そんな折、学生時代の友人に紹介されたのは「D&Cプラット」という会社だった。社長は芳川美奈子。洗練された魅力と成熟した大人の女の魅力を十分に醸し出していた──面接もそこそこに机につくと、三十代前半に見えた女社長は、仕事中、無防備に下着がみえてしまう動きをしたり…。その日のうちに、社内でただならぬ関係を持ってしまう──まずは短期バイトという気安さもあり、毎日、会社に通い、目も眩むような快楽を貪り始めたが、十日も経つと、げっそりと痩せ、瞳は落ち込み……
艶文
【藍川京・著】大地震の翌日、散乱した部屋の中から見つかった古い手紙の束。それはかつて紗絵子に想いを寄せていた年上の男からの恋文だった。二十代半ばの紗絵子にとって、十一歳年上の男、久留須はただ会社の雇い主の親友でしかなかった──結婚、離婚を経て、いまは独り身となって震災で心細い思いを抱いた紗絵子は、次第に過去の想い出に誘われる。優しく、上品で熱烈な手紙をくれた久留須──しかし、十五年の歳月は穏やかだった男を、知らぬ間に変えていて……
月おとし
【乃村寧音・著】テレビ番組の制作プロダクションにディレクターとして勤めて十二年、35歳になる汐音は、キー局のプロデューサーと何年か付き合っていたが、二年前に別れてしまい、男はそれっきりだ。今日も二徹後、編集オペレーターの緒方に指示を出しながらの作業を終えた。深夜、同じ方向へタクシーを拾おうとふたり歩き始める。途中の公園で、緒方が隠し持ってきた缶チューハイで乾杯。「汐音さんは、最近、何かが滞っている」と語り始めた。そういわれれば、生理だって不順。緒方には見える、という。そんな家系に生まれたらしい。気の流れ、心と身体のバランス……気が付くと、深夜の公園で、緒方に触れられ、掴まれ、縛られ、玩具まで。そして……。
凌辱自慰
【逢見るい・著】“痛み”を感じる一瞬のためだけに31歳の萌美は、身体中にピアスの穴を開けていた。そして痛みは知らぬうちに快感へと変わって、萌美の秘所をひっそりと濡らしていた。穴を開けると、安心できた。そこが塞がって“しこり”になると、何故か上手に息をすることができたのだ──ネットで知り合った男たちとの複数プレイ。爛れれば爛れるほど、それはSEXではなく、強烈な自慰となって智美に快感をもたらす──萌美を慕ってくれる部下の恵美には彼氏がいた。爛れるだけの快楽から、自分を引き上げてくれるように思えた機会が訪れるが……。
淫靡な形代
【逢見るい・著】40代前半の上司・立花と欲望を昇華させたあと、ふいに知華はぽつりと言い渡された──「もう、終わりにしてほしいんだ。これっきりにしてくれないか。頼むよ」。29歳の知香は、多くを望んでなどいなかった。週に一度はホテルで会って、抱きしめてくれたらいい──知華はいつも二番目だ。バイト先のオーナー、大学時代の講師…彼女の身体の上を舐めていった男たちには決まった相手がいた。立花もそうだ。先妻が無くなったあと選ばれた再婚相手は知華ではない。立花の家でのホームパーティが企画され、何も知らない同僚たちとともに知華は出向いた。そこで立花の先妻との息子、美少年の真琴に痴態を見られてしまい…行き暮れる女の発情の結末は。
ふたたびの初恋
【末廣圭・著】真知子は離婚、ソープ嬢を経験し、躰も心も穢れてしまったと自暴自棄に陥っていた。ある日、富山で出会った一人の少年に彼女の心は癒されていく。自分の穢れた躰では彼にはそぐわないわ…。少年と惹かれあいながらも、気持ちを抑える真知子。旅館での性感マッサージ、親友夫婦との3Pにより忘れていた女の悦びを呼び起こされ、少年を部屋に招き入れるが…。心の機微を細やかに描きあげた情愛ロマン。
遠い日の花火ではない
【子母澤類・著】日頃から感情を表に出さない部下の相田麻央に、元村は突然、相談を受けた。縄のれんの先で聞かされたのは不倫相手の身勝手さ。話を聞きながら嫉妬と憐憫と劣情が…。偶然寄った駅前のコンビニで、ふっくら笑顔のあゆみに出会った井ノ原は、ポッチャリとしたそのからだにたちまちのめりこむ…。くたびれた中年男たちが取り戻す、出会いの瞬間を淫らに凝縮した、6つの癒し官能物語。
女王様ゲーム
【越後屋・著】人里離れた館に、ある日突然七人の女王様が集められた。館の主は、七人にゲームの開始を宣言する。それはお互いを調教し、Mの誓いを立てさせるルール無用のデス・マッチ。勝者には巨万の富が与えられ、敗者は屈辱的な仕打ちを受けるゲームであった。縄、鞭、快楽責めに窒息責め! 女同士の容赦のない責めに、女王様たちは被虐の悦びに目覚めていく。そして最後の一人が残った時、このゲームに隠された真の目的が明らかになり──?!
掟─くノ一淫法帖 最終回
【睦月影郎・著】仇敵・卍谷の素破、里美に十郎はついに大胆な提案をした。泰平の世に敵として命のやり取りをするのではなく、夫婦として子を孕み、積年の恨みをお互いに消し去ろうと──姥山の衆たちは頭目の決めたことには従うはず、決められた掟を自分の代で変えようと決意して、後見役の叔母・アザミに告げるのだったが──人を殺めるために淫法を習うなかで女を知り、その痛烈な性の快感に、ともに生きる喜びを見出した十郎の大胆な提案は、ついに掟を変えるのか…。著者「淫法帖」シリーズの、隠れたスピンオフ作品、ついに完結!
寒更紗
【藍川京・著】知り合いの展覧会の二次会から逃げ出した三十九歳のイラストレーター雪菜は、以前住んでいた阿佐ヶ谷の行きつけの店「バー ぼけ」に同じイラストレーターの春佳と足を運んだ。ママの千江はサスペンス作家の立科一平の奥方──雪菜は立科と、作家と挿絵画家という関係の中、二回だけ唇を合わせたことがあった。千江に対する後ろめたさと仄かな期待…。しかし、その日はなにごともなく、思いを断ち切ろうと思ったその翌日、立科から一本の電話が雪菜に入った。「店に来たんだってな」──10年近い埋火がどちらからともなく燃え上がり……。
春告草のほころび
【瀬井隆・著】肩で息をしながら、大学三年の淑恵は思っていた──そうよね、こんなものよね。セックスってきっと、これくらいの快感が普通なんだ──社会に出るまでのあと一年、この田舎町で、厳しい冬に閉じ込められ、つまらない同級生たちと生きていく。そんなことを考えながら、SMサイトを今日も眺める。と、そんな日常をバーチャルではなくリアルに変えてくれる機会が訪れた。ハローワークにいたその男と目があった瞬間、何かが弾けた。廃屋同然の工場に連れ込まれ、男の性の捌け口となり下がり、初めて何かから解放される淫らな自分に淑恵は……。
やさしい春
【末廣圭・著】六十六歳の城内邦人は一カ月に二度か三度、浜松からセールスのために上京をする小さな食品加工会社の社長だ。しかし、酒席があったり女遊びに興じたことは一度もない。それが、その夜に限って、セレブ人妻派遣を謳うデリバリー・ヘルスに電話を入れていた。性欲はとうの昔に無くしていた。ほんの気まぐれ…。二十八歳、由香というキュートで性格も悪くない女性だった。話相手になってもらって、時間がくれば帰ってもらおう。「もう、役立たずだから」という邦人に、由香は「挑戦したくなりました」と応じ、ゆっくりと…。回春官能の逸品!
乱れた喪服
【渡辺やよい・著】大学のラグビー部時代、チーム一タフだった宮木正太郎の通夜の席、井ノ原圭吾は陰影に富んだ魅力を白い横顔に湛える喪主の女に、10年ぶりに会った。大学卒業の夜のたった一度の過ちが、葬り去ったはずの過去が去来する。マネージャーだった牧さやか…。通夜の挨拶を終え、駅前のひと気のない公園のベンチに腰を降ろした圭吾は当時を振り返っていた──四十九日法要の葉書を一度は捨てた圭吾。しかし、やはり出向いてしまった。ひとり、侘しくさやかの住むアパートに──長い時間の、お互いの偽り、そして悦楽に飛び込むふたりには……。
メル奴の告白 上巻
【館淳一・著】メールを介して、相手を調教、馴到する…ブルゴン商事に勤める酒巻春夫はふと耳にしたサイト、「ダーク・ダンジョン」にアクセスしてみた。《ここは女を支配したい男と、男に支配されたい女が出会う場です》。「志願者陳列室」という掲示板に何十人もの女たちの写真が並ぶ。29歳、人妻、みゆき。20歳、女子大生、綾乃。スパンキング、露出放尿、レズアナル拡張…女たちからの羞恥の告白とあられもない画像に、陶酔を次第に深める春夫。そして26歳、社長秘書の絵里とはついに、乱交ピスプレイを現実に──。「人妻 みゆき編」
メル奴の告白 中巻
【館淳一・著】メールを介して、相手を調教、馴到する…ブルゴン商事に勤める酒巻春夫はふと耳にしたサイト、「ダーク・ダンジョン」にアクセスしてみた。《ここは女を支配したい男と、男に支配されたい女が出会う場です》。「志願者陳列室」という掲示板に何十人もの女たちの写真が並ぶ。29歳、人妻、みゆき。20歳、女子大生、綾乃。スパンキング、露出放尿、レズアナル拡張…女たちからの羞恥の告白とあられもない画像に、陶酔を次第に深める春夫。そして26歳、社長秘書の絵里とはついに、乱交ピスプレイを現実に──。「女子大生 綾乃編」
メル奴の告白 下巻
【館淳一・著】メールを介して、相手を調教、馴到する…ブルゴン商事に勤める酒巻春夫はふと耳にしたサイト、「ダーク・ダンジョン」にアクセスしてみた。《ここは女を支配したい男と、男に支配されたい女が出会う場です》。「志願者陳列室」という掲示板に何十人もの女たちの写真が並ぶ。29歳、人妻、みゆき。20歳、女子大生、綾乃。スパンキング、露出放尿、レズアナル拡張…女たちからの羞恥の告白とあられもない画像に、陶酔を次第に深める春夫。そして26歳、社長秘書の絵里とはついに、乱交ピスプレイを現実に──。「社長秘書 絵里編」
隻脚の天使 第1話
【北原童夢・著】「足を切るなんて、死んでもいやよ。殺してよ。先生……」そう叫んでいた手術台に横たわる安西里美をじっと見下ろす神山里佳子。まだ、男に穢されていない天才チェリストのこの少女にオペの前から心奪われている担当女医──自らも隻脚の彼女は少女を愛し、少女は次第に応え、さらに周囲の男たちを懸命に「生きる」魅力で虜にしていき、やがて少女に跪く──2003.05~2004.04まで雑誌連載されたまま、そのフェティッシュさと登場人物たちの黒い淫心に「本」として編まれることを赦されなかった、官能小説の域を超えた著者の金字塔!
隻脚の天使 第2話
【北原童夢・著】「足を切るなんて、死んでもいやよ。殺してよ。先生……」そう叫んでいた手術台に横たわる安西里美をじっと見下ろす神山里佳子。まだ、男に穢されていない天才チェリストのこの少女にオペの前から心奪われている担当女医──自らも隻脚の彼女は少女を愛し、少女は次第に応え、さらに周囲の男たちを懸命に「生きる」魅力で虜にしていき、やがて少女に跪く──2003.05~2004.04まで雑誌連載されたまま、そのフェティッシュさと登場人物たちの黒い淫心に「本」として編まれることを赦されなかった、官能小説の域を超えた著者の金字塔!