花売り剣客3

【八神淳一・著】真央は江戸にやってきて、花売りをはじめて五カ月になろうとしていた。岡っ引きの政造が今日も声をかけてくれる。なにかあったら、すぐに言えよ、と。政造をみる度に、西国で斬った思い人、圭一郎を思い出していた──水茶屋の沙希が最近、誰かに帰り道をつけられているらしい。案の定、直参旗本の無頼の三人が、沙希を狙っていた。たまたま、噂を聞きつけて助けに入った政造の目の前で、真央までが嬲られ──著者、大人気の「剣客」モノ! 連作短編、最終話!!

蕩ける肌雪

【瀬井隆・著】青く晴れ渡った三月下旬の平日、由里は胸を高鳴らせ、雪の上を歩いていた。卒業式のその日、鹿賀先生に動画を、学校裏手の誰も来ない丘の上で、撮ってもらう約束をしていたのだ──ひょんなことから、怒ると怖い鹿賀と口を利くようになった。鹿賀はそれまで撮っていた対象を「セーラー服」姿の教え子に替えた。ただ、それは本当に指一本触れない純真な「撮影会」だった。が、卒業式の今日は──やはり、鹿賀も教え子ではなく、一人の女として、その日は構えていて……著者、得意の「女子汚し」、傑作短編!

白い部屋

【寒竹泉美・著】夫とはもう半年以上、肌を合わせていない葉月は、国崎クリニックで今日もクライアントと向かい合っていた。唯一の治療、それは、話を聞いてあげることだった。飯田という、問題のあるクライアントにいつも、しかもわざと性的な悩みを聞かされる。そして、言動が犯罪行為スレスレの「診察」となったとき、院長である国崎から渡されたもの、それは淫靡な玩具だった──カウンセラーが問題を抱えているとそれはクライアントに伝染するという理由で──すべてがそこから変わっていく。葉月の夫への愛、いや、男女の関係すらも壊していき、ついには国崎と肌を重ねるようになっていくが……

ご主人様の時間

【深志美由紀・著】「くぅ……う、ううっ」内側から敏感な場所を刺激してくるローターを挿入したまま、芹はご主人様の命じられるまま夜の公園を歩かされていた。羞恥にしゃがみこんだ瞬間、ご主人様が背後から抱き締めてくれた──清水と出会ったのは十六のときだ。女子大に入り十九のいまも関係は続いていて、数々のご奉仕を体験してきた。強いられてきた「行為」は嫌ではなかった。命令を聞くのは気持ちがよい。包容されているかのようなとてつもない安心感。ただ、ご主人様の恋人でもなんでもない、ただの奴隷だった──芹はある日、彼の会社のある駅前で幸せそうに清水の家族が笑顔を交わしているのをこっそりと覗きみながら……

愛はいらない

【睦月影郎・著】吉井祐希は、高校を卒業して一浪目の夏を、近くの川の堤で迎えようとしていた。七夕の夜、いまは短大に通い始めた大沢麻衣を待ち構えているのだ。人気のない、寂しい堤を彼女は必ず通って家路につく。この三年間の思いを果たすことが叶えば、この堤は二人の人生にとって思い出の場所になる。こちらには愛があるのだ──麻衣が案の定やってきたそのとき、白いセダンが彼女と接触した。狭い堤通り。彼女は転倒して斜面をころげ落ちる。ああっ! 一旦、停まった車のナンバー、その数字に祐希は覚えがあった。持主は黒島恵理子。高校時代の独身の国語教師──麻衣を介抱する一方で、祐希の頭の中では姦計が頭をもたげ始める! タイトルの裏側にある、男の思いを描きだす、中編快作!

薄墨のかすか

【沙布らぶ・著】祖母の千代が他界したとき、二十四歳の雫は派遣社員として働いていた。まだ元気だった祖母から、離れを間借りしている平坂という墨絵画家に、短大卒業の記念に絵を描いてもらいなさいと言われたのは四年前のことだ──描かれることには気が乗らなかったが、訪ねたアトリエで平坂が作品制作に向かう狂気的とも言える表情やまなざしに、なぜか強く情欲を掻き乱される──初体験がレイプという過去を持つ雫には、刷り込まれてしまった妄念があった。四年ぶりに再会した平坂と千代のある秘密を知った雫は、その秘密と妄念を同時に「消化」するために……

昼下がりの誘惑

【早瀬真人・著】大学受験に失敗した亮太は、浪人生活をほぼ毎日図書館通いで過ごしていた。勉強もそこそこに密やかな愉しみがそこには無限に広がっていたからだ。『チャタレイ夫人の恋人』。ちょっと古いがここ四日ほど夢中になっている本だった。第十三章を開いたその日、そこにはメモ用紙が挟まっていた──私は三十七歳の女、チャタレイ夫人のような激しい情事を求めているの。私に会いたければ…思わず妄想が膨らんだ。半分の期待と、そんな上手い話は、と揺れる亮太の前に、偽りなく現れた美沙子と名乗る女は童貞の亮太の脳髄を刺激する容姿で、濃い精を搾り取り……

はつ恋

【深志美由紀・著】三十半ばを過ぎた尚は、ブログで小説の連載を始めて一年ほど経つ。叶わなかった姉への劣情を、小説の中では少年のままで尚は満たしていた。禁断の小説には熱心なファンもついた。百合というハンドルネーム。それは小説の中の姉の名前だった──チャットセックスを時折愉しむまでの関係は、ある日突然途絶え、そしてメールが来た。生身の尚に会いたい、と──待ち合わせ場所には、まるで小説から抜け出してきたような、セーラー服姿の少女がいて……

向日葵の歌

【松崎詩織・著】沙智が初めて愛した人、それは実の兄、医学部へ通う翔だった。もちろん誰にも言えずに。が、兄の名前を口にしながら快楽に耽った激しい自慰を、偶然、覗かれた夜、一度だけギリギリの願いが……直後、家を出た兄は事故で死ぬ。夏、暑い盛りのことだった。その日から、沙智は声を失った。大学生になったとき、そんな沙智を愛してくれる人が現れる。初めて結ばれる夜、彼は幼い頃に心臓移植で生き延びていたことを彼女に話して聞かせるのだったが……

邂逅

【藍川京・著】苦労して、売れっ子のイラストレーターとなった沙季は、四十六歳になっていた。出席した挿絵画家の祝賀パーティの二次会は銀座の一流クラブ。全員の支払の半分を持つほどには成功していた──まだ売れないころ、小さなバーでアルバイトしていたときに、深い関係を結んだ男・新羅がそこに、偶然ひとりグラスを傾けていた。十五年目の再会。出会いは二十三年前にもなる──二次会のメンバーの目を避け、ママに頼んで、そっと渡してもらった名刺の携帯番号に、その夜のうちに……時を超えて結ばれる大人の男と女の純愛情欲短編!

女の武器は……

【乃村寧音・著】二週間のうちに、契約を上げてこないと盛岡に転勤──ブラック企業丸出しの住宅販売会社の上司からそう告げられ、焦るリストラ対象の有希。元々せっぱつまった家庭状況にあった彼女は、そう言われた飲み会をフラフラと抜け出し、入り込んだのは「出来る男性先輩」の机の前。PCを勝手に覗き、顧客リストや仕事の仕方を盗もうと……。しかし、あとをつけてきたその男、斉田にPCを見ているところを見つけられてしまい──弱みにつけこまれ、夜のオフィスで、二人だけの「プレイ」が始まった!

蜜の時

【子母澤類・著】この清らかで美しい肉体を、あのサラリーマンに金で売ったのだろうか──妻方の姪、女子高生のなつきを小野木が引き取ったのは大震災のあとだった。平日の昼間、三十前後のサラリーマン風の男についていくなつきを見たのは、四十五歳の小野木が若い女子社員たちと市民センターのエントランスが見えるビストロで昼食をとっていたときだった──その日のことを、妻の留守中、ふたりきりになった際に切り出すと、否定しないなつきに小野木はついに衝動に駆られ、そして……

誘う女

【早瀬真人・著】三十九歳を迎えようとしている佐伯祐介は、会社倒産により現在、無職。そんな折、学生時代の友人に紹介されたのは「D&Cプラット」という会社だった。社長は芳川美奈子。洗練された魅力と成熟した大人の女の魅力を十分に醸し出していた──面接もそこそこに机につくと、三十代前半に見えた女社長は、仕事中、無防備に下着がみえてしまう動きをしたり…。その日のうちに、社内でただならぬ関係を持ってしまう──まずは短期バイトという気安さもあり、毎日、会社に通い、目も眩むような快楽を貪り始めたが、十日も経つと、げっそりと痩せ、瞳は落ち込み……

艶文

【藍川京・著】大地震の翌日、散乱した部屋の中から見つかった古い手紙の束。それはかつて紗絵子に想いを寄せていた年上の男からの恋文だった。二十代半ばの紗絵子にとって、十一歳年上の男、久留須はただ会社の雇い主の親友でしかなかった──結婚、離婚を経て、いまは独り身となって震災で心細い思いを抱いた紗絵子は、次第に過去の想い出に誘われる。優しく、上品で熱烈な手紙をくれた久留須──しかし、十五年の歳月は穏やかだった男を、知らぬ間に変えていて……

月おとし

【乃村寧音・著】テレビ番組の制作プロダクションにディレクターとして勤めて十二年、35歳になる汐音は、キー局のプロデューサーと何年か付き合っていたが、二年前に別れてしまい、男はそれっきりだ。今日も二徹後、編集オペレーターの緒方に指示を出しながらの作業を終えた。深夜、同じ方向へタクシーを拾おうとふたり歩き始める。途中の公園で、緒方が隠し持ってきた缶チューハイで乾杯。「汐音さんは、最近、何かが滞っている」と語り始めた。そういわれれば、生理だって不順。緒方には見える、という。そんな家系に生まれたらしい。気の流れ、心と身体のバランス……気が付くと、深夜の公園で、緒方に触れられ、掴まれ、縛られ、玩具まで。そして……。

凌辱自慰

【逢見るい・著】“痛み”を感じる一瞬のためだけに31歳の萌美は、身体中にピアスの穴を開けていた。そして痛みは知らぬうちに快感へと変わって、萌美の秘所をひっそりと濡らしていた。穴を開けると、安心できた。そこが塞がって“しこり”になると、何故か上手に息をすることができたのだ──ネットで知り合った男たちとの複数プレイ。爛れれば爛れるほど、それはSEXではなく、強烈な自慰となって智美に快感をもたらす──萌美を慕ってくれる部下の恵美には彼氏がいた。爛れるだけの快楽から、自分を引き上げてくれるように思えた機会が訪れるが……。

淫靡な形代

【逢見るい・著】40代前半の上司・立花と欲望を昇華させたあと、ふいに知華はぽつりと言い渡された──「もう、終わりにしてほしいんだ。これっきりにしてくれないか。頼むよ」。29歳の知香は、多くを望んでなどいなかった。週に一度はホテルで会って、抱きしめてくれたらいい──知華はいつも二番目だ。バイト先のオーナー、大学時代の講師…彼女の身体の上を舐めていった男たちには決まった相手がいた。立花もそうだ。先妻が無くなったあと選ばれた再婚相手は知華ではない。立花の家でのホームパーティが企画され、何も知らない同僚たちとともに知華は出向いた。そこで立花の先妻との息子、美少年の真琴に痴態を見られてしまい…行き暮れる女の発情の結末は。

掟─くノ一淫法帖 最終回

【睦月影郎・著】仇敵・卍谷の素破、里美に十郎はついに大胆な提案をした。泰平の世に敵として命のやり取りをするのではなく、夫婦として子を孕み、積年の恨みをお互いに消し去ろうと──姥山の衆たちは頭目の決めたことには従うはず、決められた掟を自分の代で変えようと決意して、後見役の叔母・アザミに告げるのだったが──人を殺めるために淫法を習うなかで女を知り、その痛烈な性の快感に、ともに生きる喜びを見出した十郎の大胆な提案は、ついに掟を変えるのか…。著者「淫法帖」シリーズの、隠れたスピンオフ作品、ついに完結!

寒更紗

【藍川京・著】知り合いの展覧会の二次会から逃げ出した三十九歳のイラストレーター雪菜は、以前住んでいた阿佐ヶ谷の行きつけの店「バー ぼけ」に同じイラストレーターの春佳と足を運んだ。ママの千江はサスペンス作家の立科一平の奥方──雪菜は立科と、作家と挿絵画家という関係の中、二回だけ唇を合わせたことがあった。千江に対する後ろめたさと仄かな期待…。しかし、その日はなにごともなく、思いを断ち切ろうと思ったその翌日、立科から一本の電話が雪菜に入った。「店に来たんだってな」──10年近い埋火がどちらからともなく燃え上がり……。

春告草のほころび

【瀬井隆・著】肩で息をしながら、大学三年の淑恵は思っていた──そうよね、こんなものよね。セックスってきっと、これくらいの快感が普通なんだ──社会に出るまでのあと一年、この田舎町で、厳しい冬に閉じ込められ、つまらない同級生たちと生きていく。そんなことを考えながら、SMサイトを今日も眺める。と、そんな日常をバーチャルではなくリアルに変えてくれる機会が訪れた。ハローワークにいたその男と目があった瞬間、何かが弾けた。廃屋同然の工場に連れ込まれ、男の性の捌け口となり下がり、初めて何かから解放される淫らな自分に淑恵は……。

やさしい春

【末廣圭・著】六十六歳の城内邦人は一カ月に二度か三度、浜松からセールスのために上京をする小さな食品加工会社の社長だ。しかし、酒席があったり女遊びに興じたことは一度もない。それが、その夜に限って、セレブ人妻派遣を謳うデリバリー・ヘルスに電話を入れていた。性欲はとうの昔に無くしていた。ほんの気まぐれ…。二十八歳、由香というキュートで性格も悪くない女性だった。話相手になってもらって、時間がくれば帰ってもらおう。「もう、役立たずだから」という邦人に、由香は「挑戦したくなりました」と応じ、ゆっくりと…。回春官能の逸品!

乱れた喪服

【渡辺やよい・著】大学のラグビー部時代、チーム一タフだった宮木正太郎の通夜の席、井ノ原圭吾は陰影に富んだ魅力を白い横顔に湛える喪主の女に、10年ぶりに会った。大学卒業の夜のたった一度の過ちが、葬り去ったはずの過去が去来する。マネージャーだった牧さやか…。通夜の挨拶を終え、駅前のひと気のない公園のベンチに腰を降ろした圭吾は当時を振り返っていた──四十九日法要の葉書を一度は捨てた圭吾。しかし、やはり出向いてしまった。ひとり、侘しくさやかの住むアパートに──長い時間の、お互いの偽り、そして悦楽に飛び込むふたりには……。

メル奴の告白 上巻

【館淳一・著】メールを介して、相手を調教、馴到する…ブルゴン商事に勤める酒巻春夫はふと耳にしたサイト、「ダーク・ダンジョン」にアクセスしてみた。《ここは女を支配したい男と、男に支配されたい女が出会う場です》。「志願者陳列室」という掲示板に何十人もの女たちの写真が並ぶ。29歳、人妻、みゆき。20歳、女子大生、綾乃。スパンキング、露出放尿、レズアナル拡張…女たちからの羞恥の告白とあられもない画像に、陶酔を次第に深める春夫。そして26歳、社長秘書の絵里とはついに、乱交ピスプレイを現実に──。「人妻 みゆき編」

メル奴の告白 中巻

【館淳一・著】メールを介して、相手を調教、馴到する…ブルゴン商事に勤める酒巻春夫はふと耳にしたサイト、「ダーク・ダンジョン」にアクセスしてみた。《ここは女を支配したい男と、男に支配されたい女が出会う場です》。「志願者陳列室」という掲示板に何十人もの女たちの写真が並ぶ。29歳、人妻、みゆき。20歳、女子大生、綾乃。スパンキング、露出放尿、レズアナル拡張…女たちからの羞恥の告白とあられもない画像に、陶酔を次第に深める春夫。そして26歳、社長秘書の絵里とはついに、乱交ピスプレイを現実に──。「女子大生 綾乃編」