蜜の時
【子母澤類・著】この清らかで美しい肉体を、あのサラリーマンに金で売ったのだろうか──妻方の姪、女子高生のなつきを小野木が引き取ったのは大震災のあとだった。平日の昼間、三十前後のサラリーマン風の男についていくなつきを見たの…
遠い日の花火ではない
【子母澤類・著】日頃から感情を表に出さない部下の相田麻央に、元村は突然、相談を受けた。縄のれんの先で聞かされたのは不倫相手の身勝手さ。話を聞きながら嫉妬と憐憫と劣情が…。偶然寄った駅前のコンビニで、ふっくら笑顔のあゆみに…
宵待ち月
【子母澤類・著】真一は、今は亡き父の愛人だった桐野小夜子の家に向かっていた。これで二度目だ。一度目は父の死の知らせを受けたとき。今回は妾宅に関して遺言状に記された話をつけるためだった。大学の助教授をしていた、まじめだけが…