白い部屋
【寒竹泉美・著】夫とはもう半年以上、肌を合わせていない葉月は、国崎クリニックで今日もクライアントと向かい合っていた。唯一の治療、それは、話を聞いてあげることだった。飯田という、問題のあるクライアントにいつも、しかもわざと性的な悩みを聞かされる。そして、言動が犯罪行為スレスレの「診察」となったとき、院長である国崎から渡されたもの、それは淫靡な玩具だった──カウンセラーが問題を抱えているとそれはクライアントに伝染するという理由で──すべてがそこから変わっていく。葉月の夫への愛、いや、男女の関係すらも壊していき、ついには国崎と肌を重ねるようになっていくが……