鏡あそび

【蛭田亜紗子・著】リストラされた会社でいちばん嫌いなタイプ。ぶよぶよして、芋虫みたいなでっぷり太った指の持主の中年男、菅沼さんに、麻由は鏡張りのラブホテルの一室で抱かれていた。そしてボールギャグを咬まされ、四つんばいの鏡の中の女、由麻が、こちらを見ていた…。ある日、菅沼さんに懇願され、「新婚初夜」プレイを撮影、映像は手違いからノーカットでアップロードされてしまう。そして、なにかが、はじけた──幼いころから一人ぼっちだった自分と、鏡の中のもうひとりの自分と会話して生きてきた女の「逃避行」は……。

花に呼ばれて、彼女は

【蛭田亜紗子・著】在宅でフリーの広告デザイナーとして働く花奈には発情期があった──若葉が芽吹き花のつぼみが堅くなる季節。排卵期に性欲が増す女性とはまた違った、欲しくて欲しくて、理性をコントロールできなくなる時期。バスの中、突然、襲ってくる火照りに負け、他人に見られながらも自らを慰める。付き合っていた彼に呆られたほどの発情は二年ほど前からか…第七回R-18文学賞大賞受賞の著者による、官能文芸誌「悦」掲載の、女性的感性溢れるEL(エクストリーム・ラブ)短編第一弾!