絵草紙屋善右衛門─義賊振り袖小僧

【越後屋・著】お前ぇ、もしかして、生娘なのか?──悪から奪い、庶民に投げ銭する振り袖小僧は神出鬼没、江戸市中ではなかなかの人気だった。奉行所ではやっきになってこの女を追っているが、誰にも捕まえられない。女鼠小僧などと呼ばれることもある。今度の艶本は、この女義賊・お小夜を主役にすることが決まった。ほどなく仲間の盛吉の執念で、ことは上々に運ぶと思われたが──「お兄ちゃん……」お小夜の悲しく、切なく、一途な過去と現在が明かされていくうちに、阿波屋たちは情のこもった奸計を再びめぐらせた。生娘を淫らに花咲かせるために、練り上げられた責めが冴えわたり、思わず咽ぶ傑作時代官能シリーズ・長編第三弾!!

絵草紙屋善右衛門─乱菊小袖の女

【越後屋・著】反物のこの柄の艶やかさと品の良さに打ち勝つには、着る側の女にもそれ相応の華と品が無くてはならない──紀州屋の頼みは、この反物を纏った女を描いて欲しいというものだった。昨今、市中で人気の危な絵に載せて評判を取ろうという目論見だ。気高く、見目麗しい武家の奥方、お兼に標的は絞られた。お兼は人気役者の藤次郎と料亭の奥座敷で密会を重ねている。そこへ、踏み込み、性感地獄に落とす──「奥方さま、素直におなりなさい」男たちの執拗な責めに、気丈に処していた妻女も、ついに随喜の吐息を漏らし始め……乱菊模様の粋な小袖を着こなす美人を、阿波屋、寒山、東斎が、華やかな艶本に仕立てる、傑作時代官能シリーズ第二弾!!

絵草紙屋善右衛門─女郎蜘蛛の女

【越後屋・著】ほれ、姫貝の中から淫水が溢れ出してきた。こんな痛い目ぇに遭いながら股間を濡らすとは、お前はほんにいやらしい女子やなあ──仕上げの墨を入れられている美貌の女侠客、お蝶を眺めながら男が言葉をかける。痛みは、とうに官能に変わっていた。苦悶は理性を飛ばし、何も考えられなくなっていった。おまけに、子分の伝吉は、褌のそこを大きくしていて──「なあに。艶本を出して首が飛んだ人間は居ませんよ」写生主義者を任じる、江戸の版元、阿波屋善右衛門。そこに連座する、上方なまりの戯作者、星川寒山。情念の絵師、甲斐山東斎。この三人の奸計が生み出す危な絵の舞台を濃密に描く、著者、渾身の傑作時代官能シリーズ!!

故郷の男

【越後屋・著】着ていった服がぼろぼろにされていたら、お前のご両親はどう思うかな。これからお前は俺の女だ。俺に呼ばれたら、いつでも俺に抱かれに来るんだ──故郷での十五年振りの同窓会。あのとき、圭輔は捕手で、いまの夫・翔太は投手、そして杏子はマネージャーだった。翔太が野球推薦で進んだ大学に杏子も進み、ほどなくして結婚、子供も授かった。高卒のまま地元で働くことになった圭輔──人生の歩みの差が積み重なって、澱のような黒い思いを抱えた男の、用意周到な復讐と、執拗な肉欲は一年前から計算されつくされていた。奸計に、最初こそ抵抗をしめす杏子だったが、やがて、全身を波打たせて……背徳の快楽の甘美を描き出す、鋭利な淫楽短編!!

箪笥男

【越後屋・著】「い、いやあっ! み、見ないでぇ! お願い、私を見ないで、い、いやああぁぁぁっ!」──隣に引っ越してきたよしみで知り合い、身体を合わせるようになった女の部屋に、その日予定を変えたパトロンがやってきた。女の顔立ちは悪くない。体付きは少し大柄だが、顔はハニー・フェイス。出るところは出て、締まるところは締まっているいい女。そんな男がまさに挿入のタイミングで──男は寝室の洋箪笥の中に押し込められ、パトロンの爺さまが出ていくまで身をひそめることを余儀なくされたのだが、女と爺さまの交わりをこっそり覗くと、それに気が付いた女が劇的に変わっていき……覗きの愉悦と、覗かれる昂揚を軽妙に描く、名手による淫靡な短編!

アザミの棘

【越後屋・著】二上静江は清楚な魅力にあふれた人妻だった。重役の夫と何不自由の無い生活を送っていたが、ある日突然、黒衣の美女に誘拐される。下半身にタオル一枚をあてがわれ、連れて行かれた先は森の中の洋館風の別荘…彼女を待ち受けていたのは禁断と背徳の調教生活だった──媚薬責めに悶え、恥態をDVDに撮られ、欲情に濡れ始める静江。そして犯人の薊子の目的が明らかになるとき、事件に隠された意外な真相が明かされる…。人気官能作家が描き出した、女による女への復讐劇と悦楽の傑作長編。淫靡な責め、甘美な屈服、そしてマゾヒスティックな美しさを放ち続け、各種媒体での絶版後、古書ではプレミアムがつくほどの著者、幻の逸品!!

女王様ゲーム

【越後屋・著】人里離れた館に、ある日突然七人の女王様が集められた。館の主は、七人にゲームの開始を宣言する。それはお互いを調教し、Mの誓いを立てさせるルール無用のデス・マッチ。勝者には巨万の富が与えられ、敗者は屈辱的な仕打ちを受けるゲームであった。縄、鞭、快楽責めに窒息責め! 女同士の容赦のない責めに、女王様たちは被虐の悦びに目覚めていく。そして最後の一人が残った時、このゲームに隠された真の目的が明らかになり──?!

同級生の甘い香

【越後屋・著】大学生の野島恭介は、大阪時代の同級生で、短大を出たあとOLをしている花村美奈を下北沢駅前で待っていた。憧れの同級生だったが、結局、片思い…連絡は美奈から突然きた。そして年上の男との失恋直後であることを恭介は知っていた──気取ることのない昼食のあと恭介の部屋にいく。…「私が教えてあげようか?」おそらく美奈を振った男へのあてつけ、恨みそういった感情から──しかし、恭介も既に女は知っていた。その巧みな性戯にいつしか社会人としての飾り、と先輩面が剥がれ落ち、本当の快楽に身が晒されるにつれ大阪弁が……。