って、何が? ではなく、著者ですよ、著者!! はい、もちろん避けられていたわけではなく、なかなかお座敷を用意できなかったんですね。面目ない。
えっ? 沢里裕二さん、です。『処女刑事』シリーズが、大ヒットし続けている、あの、沢里のオッチャンです!!
それ以前のことは割愛しますが、第二回 団鬼六賞優秀作 受賞者です。2011年、高橋源一郎氏、石田衣良氏、藍川京氏による厳正な審査会を経て、受賞。
ちなみに僕もその席にいたんですが、特に石田衣良氏は、「こういう著者が、一気に読者を獲得する」と大絶賛。応募作の『淫府再興』は直ちに講談社文庫にもなったんですね。官能小説を超えた官能小説でしたが、この壮大な超絶官能エンターテイメントの衝撃デビュー以降、文藝大手が殺到、大航海が入る機会はほとんどなかったんです(笑) いや、石田衣良氏の予言通りだったんです。
沢里さん、いまや多彩な書き手です。エンタメジャンルは縦横無尽、獣王無敵! 官能小説ジャンルでいえば、『淫府再興』にもその芽を見る、「スットコドッコイ」な作風で読者を煙に巻く、といったらいいでしょうか。
しかし、これがとても心地いいんですね。いやいや、そんなことはないだろう、と思う間もなく展開はジェットコースター。その畳みかけに、あれよあれよと桃源郷の奥地に連れ込まれてしまいます。すっかり、その地の住人になったときには、モッコリ濡れ濡れな自分に、あとから気が付くんです、読者はっ!!
……長くなりました。そうです、もう、エンタメ出版界を席巻していたときに、沢里氏が書下ろした作品が、電子書籍として、Aubebooks=大航海の手許に戻ってきましたね。いままであまりに激しく、またばかばかしい、その筆遣いを聞きかじり、ちょっと遠慮していた読者のあなた、ぜひこの機会にお試しください。実に豊富な知識と筆力で、無意識のうちに計算されつくしたその作品に、襟を正しながら、笑い勃つこと必至です。あっ、笑い濡れたりもっ!!
さらに、紙で出ていた際とかなり違う細部の捕捉、そして紙とはまるで異なるラストが、ミッシリ書き込まれております。おそらく、原稿用紙100枚近い増補改訂、なのかな。ので、以前読んだ方も、ぜひぜひ!
これからも、沢里のオッチャン×Aubebooksでお騒がせなことをしていこう、と密かに画策しております!!