第19回 各紙誌(笑)、騒然! 話題作、続々配信!!

いや、紙で話題に、いまなるんだろうか。そらなりづらいよなぁ……。紙で「配信」してるわけじゃないからね。けどね、紙に載るよりすんごいのが、紙の編集や、営業や、販売している人たちの口の端に上ることや、紙でモノ読む人の肴になることじゃねぇかって。そんなことを思ったりするんですね。どこからともなく見聞きして、とりあえずしゃべってしまいたくなるような、そういうことです。口コミ、というのとも、どっか違うんです。他人に、何か自分の驚きを確認しておきたくなる自然の欲求というかさ。それはどこかに違和感や、不安ともいえない落ち着かなさがあったりするときに生まれがちな現象で、既成の概念、感覚がちょっと揺さぶられると、ねぇ。
そういう作品を並べられれば本望です、と言い続けて早7年。いよいよ旗手の登場ですぜ! 草凪優氏、ですっ!!!
「えっ、Aubebooks店長のとこで草凪さんが……」とか「おおおっ!」とか「……。。。」とかの口の端ですかね(笑)そりゃ、15年近く前に店長は数多のシクジリを犯しました。うむ、しかもどれが本当のシクジリだったかわからない、ただちに判断のつかないぐらいの重層構造で。怠惰、鈍感、金欠に発する数々の無礼を草凪優氏に、です。沢里のオッチャンには、お座敷を設けることが出来なかったという言い訳が成立するんですが、この件に関しては、きっとお座敷の問題ではなく、ひとえに、お付き合いいただくには、店長、未熟過ぎて、ですね。
けれど、いろいろな巡り合わせと時間の経過(=割愛)が、このミラクルを起こしてくれましたね。
初期代表作長編と、埋もれていた過剰な複数短編が、同時に配信であります! いずれも、おそらく発表当時の「官能小説」の概念をはるかに超えています。で、いまもって、その切れ味は鋭利。いや、濡れ場が、とか、運びが、とかキャラが、とか、そういう超え方じゃないんです。そうした舞台装置は、極めて官能小説なんですが、なんだろうそこに流れている人間の深奥というか。身体のヒダだけじゃなくて、心のヒダも揺さぶられる、そうした一級の読み物なんですね。おおっ、人を描く、ってことです、性と生を通して。これって、そうそう為せることではない、と思います。で、ついに、そうした「最高峰」の作品の一端を、Aubebooks発で配信できる嬉しさに、落涙なのです。
口幅ったいですが、ひとりの作家さんの進化と深化を辿るのにも絶好の作品かと。そもそも、既成の概念を壊してくれるのが草凪優氏だと勝手に思っているんですが、それは異端ということではまったくなく、むしろエンターテイメント小説の王道を驀進していると思います。王道小説はいかに生まれてくるのか、そのスタート地点を眺めさせてもらえるんですね。こうした感慨に溺れることが、とても心地よい店長ですっ!!!!!

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