第5回 丁稚の書評――北原童夢・著『隻脚の天使』

みなさま、ご無沙汰しております。丁稚でございます。今回は北原童夢・著『隻脚の天使』の第一話についてお話しいたします。タイトルどおり、隻脚つまり片足の少女のお話です。なんだか、それだけでゾクゾクしますね。

もっとも印象深かった言葉は「奇形への憧憬」――これ、ありますね。たとえば、ダルマ女がそうですね。前に働いていた書店でシーメールものの雑誌がよく売れていましたが、ニューハーフも一種の奇形。さらに言えば、「巨乳」や「まな板」も奇形と考えられます。

さて、物語のなかで筒井という義肢装具士が出てきます。この男、自作の義足とともに工房で一夜を過ごします。しかも、その義足を「女神」と呼んでいる。気持ち悪いですね。変態ですね。川端康成の作品に、こうゆうの(『片腕』だっけ?)がありました。サイコーですね。

そして、この男、足の切断面に接吻します。それは「ツルリとしたのっぺらぼうで妙に柔らかい」「見せてはならない恥部であり、同時にもっとも感じる性感帯」「第二の性器」と言い、そこを「唾液でべとべとになるまで舐めしゃぶ」ります。こんな変態、最近ではお目にかかれないですね。

マルキ・ド・サドの影響もあるのかな。また、「黒髪のボブカット」「マネキン」など北原童夢さんのキーワードも満載。江戸川乱歩など昭和のエロスの洗礼をうけた方々には、たまらない作品だと思います。乞う、ご期待!

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